コーヒーの食品衛生リスクについて
コーヒーの食品衛生リスクについて
なにげなく飲んでますが、コーヒーを飲む際に、どのような危険があるのでしょうか?
コーヒーの食品衛生リスク
- オクラトキシン
- アクリルアミド
- フラン
- 微生物
以上が大きなコーヒーの食品衛生のリスクとして考えられています。
このなかでももっともコーヒーで多く表れるのが「オクラトキシン」です。
カビが産生する腎毒性、肝毒性のカビ毒の一種で発ガン物質と報告されています。
食品安全に関するリスクプロファイルシート(化学物質) 「農林水産省」
オクラトキシンA(OTA)
産生菌:Penicillium 属(P. verrucosum 等)、Aspergillus 属(A.
ochraseus 、A. carbonarius、A, niger 、等)
海外の基準例 (食品)
(1)基準値
【Codex(STAN 193-1995)】
・最大基準値:小麦、大麦、ライ麦 5 μg/kg
【EU(規則 No 1881/2006)】
食品 基準値(μg/kg)
未加工穀類(米及びそばを含む) 5.0(μg/kg)
干しブドウ(種なしブドウ、レーズン、黄色種なしブドウ) 10.0(μg/kg)
焙煎コーヒー豆、挽き焙煎コーヒー豆(水溶性コーヒーを除く) 5.0(μg/kg)
水溶性コーヒー(インスタントコーヒー) 10.0(μg/kg)
ワイン(アルコール度数 15%以上のワインとリキュールを除く)と果実ワイン 2.0(μg/kg)
汚染実態の報告(国内) 食品
○ 市販食品中のオクラトキシンA濃度(厚生労働省データ)
((2004-2006 年度))
品目 試料数 定量限界 定量限界以上の点数 最高値(μg/kg) 平均値(μg/kg)
米 90 0.1 0 - –
小麦粉 130 0.1 66 0.7 0.1
チョコレート 73 0.1 50 0.9 0.2
ビール 61 0.01 38 0.45 0.02
ワイン 53 0.05 16 1.29 0.08
生コーヒー 21 0.1 5 0.8 0.1
焙煎コーヒー 29 0.1 13 0.9 0.2
インスタントコーヒー 36 0.1 35 4.2 0.8
缶コーヒー 10 0.02 2 0.02 0.00
ココア 21 0.1 21 3.5 0.9
注1:厚生労働省データを基に作成
注2:分析した食品は、国産、輸入、国産か輸入か不明のものがある
注3:平均値は定量限界未満を「0」として算出。
調製・加工・調理による影響
- ・朝食用シリアルやビスケットの製造工程で大幅に減少するが、パスタなどではほとんど減少しない。(他のトリコテセン類のかび毒よりも低減しにくいとされている。)
- ・コーヒーの脱カフェイン工程では約 90%減少。焙煎工程では最大で 90%程度減少するとの報告がある。豆の選別による低減効果も大きい。
- ・カカオ中のオクラトキシン A は、チョコレート製造工程で平均90%低減するとの報告がある。
- ・ワインでは醸造中にオクラトキシンA濃度が一貫して減少することが確認されている(低減率は各種条件により異なる。)。
汚染防止・リスク低減方法 (食品)
- オクラトキシンAの産生は、産生菌の種類、作物の種類、地理条件によって異なることから、産生菌毎に異なった汚染防止策が必要。
- A. ochraceus、 A. westerdijkiae, 及び A. steynii貯蔵穀類が汚染源となるので、急いで乾燥すること。水分活性は0.8 以下に保つことが必要。燻蒸、換気、冷蔵、密封貯蔵、CA貯蔵も有効。虫害もオクラトキシンA産生の原因となるため注意。コーヒー豆では収穫後にオクラトキシンAが産生するので、急速かつ効果的乾燥、適正な貯蔵、色彩選別が重要。
消費者の関心・認識 一般的にオクラトキシン A に対する消費者の関心は低い。
○健康影響評価のまとめ
- ・現状では、オクラトキシン A の暴露量は高リスク消費者でも TDIを下回っていると推定されることから、食品からの摂取が一般的な日本人の健康に悪影響を及ぼす可能性は低い。
- ・オクラトキシン A の主な産生菌は、異なる生育条件では異なる種類の農作物及び食品に生育し、また、オクラトキシンAの汚染の程度は、気候等の影響を受けやすいことから、リスク管理機関において汚染状況についてのモニタリングを行うとともに、規格基準について検討することが望ましい。
(食品安全委員会, 2014)
Tolerable Daily Intake(耐容一日摂取量):ヒトが摂取しても健康に影響がない、汚染物質の一日あたりの摂取量。
普通にコーヒーを飲んで摂取するにはまず問題ないと思われます。