珈琲豆屋大和

2025.06.06

【広島の珈琲豆屋大和 新着豆】イエメン 浅煎り

 

イエメン再登場で浅煎りです。
 

煎り具合  浅煎り

<特徴>
・イエメンの「モカ」は昔から高級コーヒーとして親しまれて

きました。「コーヒーの貴婦人」といわれる独特の風味が特徴です。
<生産者情報>
Hayma
・生産者:Hayma Dakhiliya地区とHayma Kharijiya地区の生産者で構成されたロット。

・標高:1,900-2,000m
・品種:イエメニア


 一般的なイエメン産コーヒーは未熟の混入が多く、輸出業者は首都のサナアに持ち込まれたドライチェリーを買い付けることが多く、どこで生産されたドライチェリーかは不明瞭なことがほとんど。これはトレーサビリティのしっかりしたイエメンコーヒーです。


イエメン 袋

 遺伝子学的、生産情報的に確かな「イエメン」


いままで「イエメン」のコーヒーといえば、モカ、高い、発酵臭、すっぱい、豆の状態が選別の仕様がない、などコーヒー屋からすれば謎に包まれていました。その「イエメン」のコーヒーの謎が明らかになり、かつカップ評価的にもかなり高評価のクリーンなナチュラルコーヒー。
 発祥の地イエメン(よく知られているコーヒー発祥の地はエチオピアで正しい。その後ということ)自生している発祥の地はエチオピア。種がうつされて作物として植えられたのはイエメンの農家。1451年、ソフィアという家族が初めてコーヒーを飲用したと文献に残っている。コーヒーのサプライチェーンもイエメンが最初。製品として取引対象として輸出されたのもイエメン。有名なモカ港。

◇ イエメンコーヒーのいままで
イエメンの内戦激化→産業はコーヒーと紙たばこのみ。紙たばこは麻薬成分も多く、土壌も荒廃させる。イエメンコーヒーの伝統としてカスカラ(ギシル)による弊害(カスカラティーなど)→コーヒーは未成熟なものが多く混入し、そのまま乾燥(気候からとても乾燥が早い)。生豆(未成熟がわかりにくい)にして何のトレサビリティ(なんの品種、どこの農家)もないまま首都サナアに輸送。品質の面からは悪いことだらけ。ブラックボックス化。ギシルは黄色、緑色(未成熟豆のほうが色がいい)などのほうが高く売れる。また未成熟のほうがギシルが多く取れる。ギシルを売って、お金がない時にコーヒーの生豆を売る。2段階の収入。こういった伝統のため、レッドチェリーを買い付けるのは困難だった。また、一農家のコーヒーの木の割り当ての少なさ(一農家500本)、作地面積や輸送の困難さなどで生産性は低く、どうしても価格は高くなる。ひと家族10人として、ひとりあたり50本の割り当て。他の国の例として、エチオピア2~300本、コロンビア6000本


◇ キマコーヒー(イエメンコーヒーの取り扱い会社)ファリス氏の研究開発
「キマ」アラビア語で山頂の意、ファリス氏は両親ともイエメン人。ロンドン生まれロンドン育ちケンブリッジ大学。故郷イエメンのために何かしたい。最初エネルギー関係。7年ぐらいエネルギー関係の会社に勤め、いざイエメンで、というときに内戦激化のため断念。それではコーヒーで、ということで2015年にキマコーヒーを設立。
《キマコーヒーの研究開発とイノベーションプログラム》
DNA解析と分析プログラム  査読(さどく)済みの科学誌(第三の専門機関の承認がないと先に進まない)品種の解明(DNA解析)→査読済み→確証をもった品種を農家へ提供。このやり方じゃないと確定した品種を顧客に継続的に提供できない。(コーヒー業界だけこのあたりがあやふやにおこなっている)
☆レッドチェリーの買い付け(先払い、高リスク)することによって乾燥精度をあげる。自分たちで乾燥工程を管理。

☆農家が品種に拘る理由(どの品種をうえるかで人生が左右される)→100~120年の2,3世代がかかわる決断。より科学的な根拠で決めるべきでは。
☆気候変動への対策プログラム(多くのコーヒー関係者が心配していることで、温暖化でアラビカ種がとれなくなってしまうのではないか)→イエメンという国がすでに極端に降雨量が少なく、昼夜の寒暖差が大きい。
そしてコーヒーの遺伝子情報の再編
新たな品種グループ「イエメニア」登場。これまでの研究から、結果として発見された。
イエメン:コーヒー遺伝子の歴史における謎!
エチオピアで見つかって1400年代イエメンに入って1600年代インド1700年代世界中に広まった。この間の200年~300年のイエメンを解明。
イエメンのシングルオリジンのカップにおける多様性(これだけ広く個性が出るコーヒーはなかなかない。)これにはなにか遺伝子学が関係しているのではないか?

アラビカの品種グループ


世界に流通しているアラビカ種はイエメンからインド、インドネシアに持ち込まれヨーロッパ経由で広まったティピカ系品種と、イエメンからレユニオン島経由で東アフリカへ、その後中南米へと広まったブルボン系品種のいずれかから派生したものが大部分。
母体品種(大きなくくりでの品種グループ)の中にエチオピア原生種、ティピカ・ブルボン、SL34、SL17がある。イエメンがどのグループに属しているか。
方法論として、三サンプルグループから指紋検証(ワールドコーヒーリサーチや他の機関の協力)
① エチオピア原生種(コーヒーの品種の半分以上がエチオピアの原生種でまだエチオピアに大半が残っているといわれる。)
② 世界に分布する様々な品種
③ イエメンの品種
この検証結果として、現在世界中で栽培されている品種特性がイエメンに包括されている事実が判明した。加えて予想外の発見もあり、新たな場所に属する一つのグループ(母体品種)が見つかった。それはイエメンのサンプルにしか見つからなかった。世界のどの産地のいまだ見つかっていない新しい遺伝子グループの発見。それを「イエメニア種」と名付けた。前述のように、エチオピアからイエメンに移ってその品種が「ブルボン・ティピカ」系、「SL」系に変異。それが世界中に広がった。しかしイエメンの「イエメニア」はどこにもいかずイエメン国内だけにとどまった。いままでイエメンの品種といわれていた「ウダイニ」、「タファヒ」は品種鑑定の結果イエメニア、ティピカなどの混載とわかった。そもそもコーヒー業界で一番高額な価格で取引されている品種「ゲイシャ」を品種鑑定で調べると6割がゲイシャですらなかったという事実も判明した。これから気候変動への対応もあり、イエメン「イエメニア」が世界のコーヒーの品種情勢を塗り替えていくのではないか、と思われるところもある。とはいえ、いままで謎に満ちた「イエメンコーヒー」がトレサビリティ、遺伝子学的品種の上でも明らかになった。もちろん味の面で確かな「イエメン モカ コーヒー」。


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